長崎県立大学懲戒処分事件の事実経過を追ってみましょう
2009年12月26日
労働基準監督署が長崎県立大学現執行部に是正勧告
長崎県立大学現執行部はこれまで、教員の労働管理を(多くの大学で行われている裁量労働制=週40時間の勤務時間を教員の自主管理によって振り分ける勤務制度ではなく)時間管理で行っているとマスコミ等に発言してきました。しかし今月1日、労働基準監督署(労基署)は長崎県立大学に調査に入り、大学がこれまで賃金台帳などの必要書類を作成しておらず、時間管理による教員の労働管理の実態が無いことを確認するとともに、現状の違法な労働管理を是正するように「是正勧告」を行いました。また現在、来月15日を期限として、労働基準監督署はこれまでの大学の違法な労働管理体制を改善するように行政指導をおこなっています。
本日、情報公開により取得された労基署の「是正勧告書」の写しについて、提供を受けることができましたので掲載します。
労働基準監督署の是正勧告書はこちら=⇒=
2009年12月18日
労働基準監督署の立ち入りに、長崎県立大学現執行部は苦しい言い訳
長崎県立大学現執行部はこれまで、教員の労働管理を(多くの大学で行われている裁量労働制=週40時間の勤務時間を教員の自主管理によって振り分ける勤務制度ではなく)時間管理で行っているとしていました。そうであるならば、当然のこととして法律で規定されているように教職員の労働日数や労働時間を記録することが義務づけられていることになります。
しかし、今月の1日に、労働基準監督署(労基署)は長崎県立大学に調査に入り、大学がこれまで賃金台帳などの必要書類を作成しておらず、時間管理による教員の労働管理の実態が無いことを確認するとともに、現状の違法な労働管理を是正するように「是正勧告」を行っていたことが明らかになりました。
来月15日を期限として、労働基準監督署はこれまでの大学の違法な労働管理体制を改善するように行政指導をおこなっているとのことです。長崎県立大学はマスコミのインタビューに対して、期限までに教員の労働時間を記録して賃金台帳を整備するように改善すると答えています。そこで、現役大学教員の方々にこの話をきいてみると、大学教員の労働管理を時間管理で行うことは事実上不可能で、大学の教育・研究の実態からして長崎県立大学の言うことは実態をまったく考慮していない発言であるとの意見ばかりでした。
また、仮に、長崎県立大学が教員の労働管理を時間管理で行うとすると、全教員に多大な時間外残業手当を支給しなければならないことになって(長崎県立大学の教員の皆さんには喜ばしいことかもしれませんが)大学の財政を危機的に圧迫するはずで、来月15日までに長崎県立大学がインタビューで答えたように教員の賃金台帳を整備するような改善を行うことはできないだろう(教員全員がサービス残業ということで処理することを納得するならば、あるいは可能かも、との意見もありましたが、もちろんこれも違法な労働管理となります)、ということでした。
長崎県立大学現執行部が久木野教授を懲戒処分した理由は、「勤務の振り替え届けがなされていなかったから処分した」、ということでしたが、そもそも長崎県立大学では教員の時間管理をしていた実態すら無かったことが労基署の調べで明らかになったわけです。
久木野教授を処分する理由と根拠が無いことを認めたくない(認めるわけにはいかない事情がある)ために、マスコミに対して上記のように答えるしかなかったのだろう、というのが大方の見方です。おそらく、しばらく時間稼ぎをした後に、大学の実態に合わせて正式に裁量労働制を制度化する(教員との間で協定を交わすことが前提となるようですが)ものと推測されますので、この件については今後の動きも追っていきたいと思います。
マスコミ報道の様子はこちら=⇒=
2009年12月17日
「地位確認等請求事件」裁判の第2回口頭弁論
2009年11月10日
自らは詐欺にあった被害者だと言っていた長崎市が、なぜかバイオラボ社の補助金交付に関わった職員を文書厳重注意
長崎市は11月10日、バイオラボ社への補助金交付に関して不適正な事務処理があったなどとして、当時の商工部理事ら担当職員6人を文書厳重注意としました。田上市長も給料の10%を1カ月減額する条例改正案を12月議会に提案するとのこと。会見した三藤総務部長は処分理由を「交付対象事業者の指定申請時に、本来定められている契約書ではなく注文書で審査するなどの不適正な事務処理があった。違法行為や非行行為をしたわけではないが、制度に検討すべき余地があったのに市企業立地奨励条例が変更される時期まで検討しなかった。」ことなどとしています。
長崎市は同社社長の久木野教授を詐欺容疑で告訴していますが、同社の元社員は虚偽申請に市職員が関与したと主張する上申書を市長らに提出していました。これについて、長崎市総務部は「元社員から事情を聴いた結果、「自分がそういう風に感じた」という話であり、職員の違法な指示があったわけではないと判断した」と主張しています。
一方、長崎市の告訴に関しては、久木野教授が代理人弁護士を通じて長崎市長に本人の説明を聞くよう告訴前から申し入れを行っていますが、今もって長崎市から連絡は無く、長崎市の調査は一方的な市職員だけの意見聴取に終始しています。
厳重注意文書はこちら=⇒======
長崎市長への申し入れ文書はこちら=⇒=
2009年11月5日
「地位確認等請求事件」裁判の第1回口頭弁論
平成21年(2009年)11月5日、長崎県立大学を運営する長崎県公立大学法人に対して、久木野教授は長崎県立大学の行った停職6ヶ月の懲戒処分の無効確認や慰謝料などを求めた訴訟を長崎地方裁判所に提訴していましたが、その第1回口頭弁論が長崎地裁で開かれました。
訴状によると、「大学の要請に従って創業したベンチャー事業の兼業であったことから当初より大学側は久木野教授の兼業従事を支援してきた経緯があり、今回の懲戒理由となっている勤務の振り替え手続きを求めることもなく5年間にわたって兼業の実態を黙認し、そして、毎年、兼業許可を与えて事業の成功を要請してきた。それが5年後の今になって、ベンチャー企業の破産を非難する県議会の意向を汲むかのように今春派遣されてきた事務局長と副学長の主導のもとで、これまでの態度を豹変させ、かつて一度も勤務時間の振り替え表の提出を命じることもなかったのが、それのみを理由に6ヶ月の停職処分を久木野教授に言い渡した。県議会の圧力が続く昨年度末、急遽、大学側は懲戒手続き規程を新たに作成し、今回これに従って形ばかりの学内手続きを済ませようと急ぐあまり、手続き自体も不法になることを厭わぬ姿勢は良識の府としての社会的責任を担う大学にはあるまじき行為である。」とのことでした。
第一回口頭弁論には久木野教授と代理人弁護士が出席、長崎県立大学側は百岳事務局長ほか事務職員1名と代理人弁護士が出席して開かれました。長崎県立大学側の提出した答弁書によると、「学内の基準に従った処分で、手続きは瑕疵なく行った。」などと主張し、争う姿勢を示しました。
2009年10月30日
「損害賠償請求事件」裁判の第1回口頭弁論
長崎県立大学を運営する長崎県公立大学法人に対して、久木野教授は裁判を受ける権利を侵害されたことに関して損害賠償を求める訴訟を長崎地方裁判所に提訴していましたが、その第一回口頭弁論が10月30日に長崎地裁で開かれました。
訴状によると、「久木野教授は大学側から処分を前提とした形ばかりの事情聴取が行われていることからこれが適正な手続きであるのかについて法の判断を求めて長崎地裁に懲戒処分の禁止を求める仮処分を申し立てていました。しかし、長崎県立大学は長崎地裁からの審尋通知文書を無視し、裁判所の判断が出る前の9月15日に急いで久木野教授を懲戒処分にした。」とのことでした。
第一回口頭弁論には久木野教授と代理人弁護士が出席、長崎県立大学側は代理人の出席のみで開かれました。
2009年10月8日
長崎県立大学現執行部は久木野教授が提出した弁明書の指摘に答えず
2009年9月30日
長崎県議会の根拠の無い告発は人権侵害であるとマスコミに訴えるも、記事にはならず
2009年9月29日
久木野教授の無実の訴えは誰からも無視され、長崎県議会は偽証罪で告発することを決める
長崎県議会百条委員会はまったく法的根拠を示さないままに久木野教授を告発・告訴するようにとの意見を述べた委員会報告書を長崎県議会に提出しました。同日、長崎県議会は、久木野教授を百条委員会での偽証罪にて告発することおよび詐欺罪による告訴を含めた法的な対応の検討を長崎県と産業振興財団に求める意見書を可決しました。
長崎県議会のこの意見書には久木野教授の証言や説明をことさらに避けた内容に終始しており、それまで繰り返し長崎県議会の百条委員会の違法な運営を正すように要請してきた久木野教授の意見すら一顧だにされることなはなく、ついにはまったく具体的な法的根拠すら示されないままに主張された百条委員会の報告を追認するように長崎県議会は久木野教授を偽証罪にて刑事告発し、また詐欺罪による告訴を含めた法的な対応の検討を長崎県などに求める意見書を可決しました。
百条委員会の報告書(関係部位抜粋)はこちら=⇒=
長崎県議会の意見書はこちら=⇒=
9月10日にが久木野教授マスコミ各社を通じて無実を訴えた文書はこちら=⇒=
2009年9月25日
長崎県議会百条委員会の意見書案は不当であるとマスコミに訴えるも、記事にはならず
2009年9月24日
長崎県立大学現執行部は懲戒処分の手続も待たず、すでに処分ありきの措置を進める
長崎県立大学現執行部は久木野教授の学内メールアドレスを使用不能とし、長崎県立大学ホームページから久木野教授の記載を全て削除したようです。
現在、長崎県立大学の規則に従って、久木野教授は今回の処分が不当であることを説明した「弁明書」を理事長宛に提出し、不服申し立てを行っている最中だったのですが、その結果を待たずに処分が先行したものでした。長崎県立大学の規則によれば処分書の交付から二週間以内に処分に対する不服申し立てができ、その後二週間以内に不服申し立てに対する当否が決められることになっています。
長崎県立大学は処分を決定する正式な学内手続きが完了する前に、すでに処分ありきの学内措置を実施していたことが明らかになったことで、長崎県立大学の行った一連の処分手続きが単なる形式・儀式だったということが分かります。
2009年9月24日
久木野教授は長崎県立大学現執行部の懲戒処分無効を訴えて長崎地裁に提訴
2009年9月19日
長崎県議会は長崎県立大学(公立大学法人)へ久木野教授の処分を求める
2009年9月17日
久木野教授は長崎県立大学現執行部の裁判手続き無視の違法性を訴えて長崎地裁に提訴
2009年9月17日
長崎県立大学現執行部の太田理事長、池田専務理事、百岳理事の三名は長崎県議会文教厚生委員会に参考人として招致される
2009年9月15日
長崎県議会百条委員会(非公開)は、久木野教授を告訴するように長崎県に促す方針を決める
長崎県議会百条委員会(非公開)が開催されたようです。
本社予定地を変更していたことを県側に情報を与えず投資させたのは不作為の詐欺にあたるなどとして県と財団に久木野教授を刑事告訴するよう促す方針を決定したとのことでした。
2009年9月15日
長崎県立大学現執行部は裁判所が双方の意見を聞くために設けた期日指定を無視して久木野教授の懲戒処分を強行
2009年9月14日
長崎県立大学現執行部は久木野教授に処分書を交付することを予告
長崎県立大学(公立大学法人)は久木野教授に翌日処分書を交付するので来るよう通知してきました。久木野教授はこの件での代理権を有する代理人弁護士に送達するよう長崎県立大学(公立大学法人)に要請しました。
2009年9月11日
懲戒処分の当否についての判断を裁判所に委ねるべく久木野教授は長崎地裁に仮処分を申し立てる
2009年9月10日
久木野教授は長崎県議会の告訴告発は事実無根であることをマスコミ会見で説明するも、記事にならず
2009年9月10日
長崎県立大学現執行部は久木野教授に対する懲戒手続として評議会を開くも、アリバイ作りの即日即決裁判
長崎県立大学現執行部は教育研究評議会に出席するため久木野教授に同行した代理人弁護士Aの入室を正当な理由を示すことなく実力行使で拒絶しました。教育研究評議会では誰からも質問がないまま、久木野教授は何を弁明すればよいのかも分からないまま、簡単な意見を述べただけですぐに終了しました。
久木野教授はその場の教育研究評議会に弁明書を提出しましたが、評議会メンバーは誰も興味を示さず、誰も読もうとはしなかったそうです。
そして、その日のうちに懲戒処分を決議したということですから、弁明書はおろか、調査委員会なるものの報告書をすら読む時間はなかったことでしょう。ただ手続きをとったとのアリバイ作り以外に教育研究評議会の開催目的があったとは思えない成り行きです。
はたして、久木野教授の懲戒処分を決めた大学の評議会メンバーたちは、どのような理由で懲戒処分すべきと判断したのでしょうか。久木野教授が受け取った懲戒処分書には懲戒理由として、勤務時間の振り替え申請を行わなかったこと、が書かれていますが、この時まで一切そのことについて久木野教授に調査もなされなかったようですし、議事進行の言葉以外は、評議会メンバーの誰も何も質問の言葉を発しなかったそうです。
何について弁明すべきかも知らされないままに、だた発言の場を与えられたということのようです。
2009年9月8日
長崎県議会百条委員会が開催される
長崎県議会百条委員会が開催。
2009年9月7日
長崎県立大学現執行部は懲戒理由を明かさないままに久木野教授に形だけの弁明を求める
2009年9月7日
久木野教授は長崎市の告訴は事実無根であることをマスコミ会見で説明するも、記事にならず
2009年9月2日
長崎県議会百条委員会が開催される
長崎県議会百条委員会(非公開)が開催されたようです。
2009年9月1日
長崎県立大学(公立大学法人)は久木野教授を調査するとしてアリバイ作りの調査委員会を開く
2009年8月31日
長崎県立大学現執行部は懲戒処分に関する調査委員会を明日開くので、出席して弁明するように久木野教授に通知
長崎県立大学現執行部は久木野教授に翌日(24時間以内に)開催する調査委員会に出席して弁明するよう通知してきました。翌日に予定もあり急な対応は無理なので一週間後の9日〜11日あたりで日程調整して欲しいとの久木野教授の要請を却下、なぜそのような無理な日程を組む必要があるのか、との質問にも答えることなく、長崎県立大学は久木野教授の都合に関わりなく翌日強行する予定であると通告してきました。出席しなかった場合は欠席裁判となることが明らかであったので、久木野教授と代理人弁護士は予定を変更して調査委員会に出席するよう急遽他の予定を全てキャンセルして日程調整をしました。
大学側が翌日に開く調査委員会への出席を求めた文書はこちら=⇒=
2009年8月11日
長崎県議会百条委員会(非公開)が開催される
長崎県議会百条委員会(非公開)が開催されました。
2009年7月24日
再再度、不法な資料提供を求める長崎県立大学現執行部に対して、大学らしく適法に行動することを要請した回答文書を提出
2009年7月17日
再再々度、長崎県立大学現執行部は、適法な根拠を示すことなく、会社資料や個人情報の提出を久木野教授に求める
2009年7月7日
再度、不法な資料提供を求める長崎県立大学現執行部に対して、大学らしく適法に行動することを要請した回答文書を提出
2009年6月30日
再再度、長崎県立大学現執行部は、適法な根拠を示すことなく、会社資料や個人情報の提出を久木野教授に求める
2009年6月22日
不法な資料提供を求める長崎県立大学現執行部に対して久木野教授は、大学らしく適法に行動することを要請する回答文書を提出
2009年6月10日
長崎県立大学現執行部は、適法な根拠を一切示すことなく、再度、会社資料や個人情報の提出するように久木野教授に求める
2009年6月8日
久木野教授の代理人弁護士は、大学を訪問し、長崎県立大学現執行部の求める文書は会社法上提出は困難と回答
久木野教授の代理人弁護士A, Bが長崎県立大学事務局を訪問し、破産管財人の管理する会社重要文書の第三者への開示は会社法上問題であり困難であること(大学法人が破産管財人に資料提供を求めたがすでに断られていた)、などを直接面談して丁寧に説明しました。