=====
長崎県立大学懲戒処分事件のあらまし
長崎県立大学は、創業を要請して兼業従事を支援してきた過去を無かったかのように態度を豹変させて、大学発ベンチャーを失敗した教員に言われ無き懲戒処分を下しました。
長崎県立大学は長崎県の提案する大学発ベンチャー事業を推進してきました。事実上、長崎県立大学は教員にベンチャー企業の創業を依頼し、これに応えて創業した久木野教授(看護栄養学部)にはできるだけの支援を行うと約束してきました。
長崎県立大学は大学発ベンチャーを起業する教員には兼業従事許可を与え、学務に支障がないことを確認して毎年兼業許可を更新してきました。県議会の委員会でも長崎県立大学は学務に支障は無かった旨を回答しています。
しかし、大学発ベンチャーが失敗して会社が破産した時、長崎県議会は補助金(税金)を無駄にしたことの責任を誰かが取らなくては県民が納得しないと主張し、教員と長崎県立大学を非難するようになりました。また、失敗した教員を処分しないような大学の予算は認められないと県議会は強硬な批判を繰り返すようになりました。
長崎県立大学は長崎県議会からの批判をさけるためか、起業を要請して兼業従事を支援してきた過去を無かったかのように、全ての責任は教員にあるとの姿勢に豹変しました。
長崎県立大学は、過去5年間に一度も問題としてこなかった、勤務の振り替え表の提出がなされていなかったという事務手続き不備を処分理由として、また、他の教員と同じように勤務して学務に支障が無かったことを認めながら(懲戒の法的根拠が無いのに)、教員に懲戒処分を下しました。
=====
なぜ、このような事件が長崎県立大学で起きたのでしょうか?
大学教員全てに当てはまる処分理由を特定教員にのみ適用し、長崎県立大学が教員の処分を強行しなければならなかった理由はどこにあるのでしょう?
=====
長崎県立大学懲戒処分事件が全国の大学教育と大学発ベンチャーに悪い影響を与えると考えた大学教員と長崎県民の有志により「長崎県立大学懲戒処分事件を考える会」は発足しました。
長崎県立大学懲戒処分事件について寄せられた全国の研究者、弁護士、法律専門家などのご意見やアドバイス
九州大学 工学研究院 教授 S.K. 先生
九州大学 工学研究院 教授 S. K. 先生
「長崎県立大学懲戒処分事件」の件、「長崎県立大学懲戒処分事を考える会」のホームページにて、事件の経緯と問題を細かく勉強させていただきました。資料をつうじ、本事件には様々な要因が複雑にからんでいるという認識を強くもちました。当事者の先生がもっともよく理解されているところだと思いますが、それは、「大学のあり方とガバナンスの問題」「行政・議会における体質の問題」「企業における経営問題」と大きく3つに分かれる問題が、相互にリンクしたかたちで「問題」として立ち現れ、膨らんだものと思量します。
「大学のあり方とガバナンスの問題」については、今回の停職処分が説明と根拠を欠如した不当な処分であると判断します。また、この処分問題が、一大学の問題にととまらず、大学のガバナンスとして同じ現実を有している他大学にとっても無関係ではありえない、由々しき問題であるとの認識をもった次第です。
他方、「行政・議会における体質の問題」は、今回でいえば大学発ベンチャーの育成という政策の失敗が表面化した際の説明責任と責任の取り方の問題や、行政(市長)と議会との相互の責任なすりつけ、産業政策をめぐる国と地方自治体の関係(地方自治体の主体性の薄さ)、自己拡大欲と無謬神話にしばられている「霞ヶ関」を頂点とする官僚風土の問題等、日本的な根深い構造が露呈したものと考えます。それは、長崎県、長崎市における、混乱にみちたベタな議論の次元では剔出が難しい問題を孕んでいると思量します。これについては、大局にたった俯瞰的な議論を注入しないと、現状の、ローカルな(低次元の)、思考なき責任回避論議に終始しそうに思います。
「企業における経営問題」については、「バイオラボ」経営破綻にいたった問題点を、ケーススタディとして、ビジネスの言葉と論理で冷静にとらえなおす必要があると考えます。これについては、行政や金融サイドの対応の問題というより、一企業体としての経営問題として、端的には「社長」の経営判断の適否として検討されるべき問題であると思量します。この部分は、久木野先生としても言い分があり、つらいところでしょうが、ミスジャッジの部分も含め、オープンな検討の俎上にのる気持ちをもたれ、大学発ベンチャーの経営破綻事例として、客観的な事実を分析とともに残し、今後の教訓としていく必要があると思います。
ながながとしたコメントとなりました。今回の処分が提起している「大学のあり方とガバナンスの問題」については、「長崎県立大学懲戒処分事件を考える会」の認識と設立趣旨に賛同いたします。「行政・議会における体質の問題」については、国政レベルでの検討や、行政や産業政策の専門家による公の場での問題提起が必要であると思った次第です。
次回掲載記事
次回掲載記事
これまでにお寄せいただいたご意見やアドバイスを本ホームページに掲載するために皆様の許可をお願いしているところです。
掲載の許可をいただいたものから順次掲載する予定ですので、ときどき本ホームページにお立ち寄り下さい。







